今回は、バランス反応について学んでいきましょう。
バランス反応は、別名「平衡速動反応」ともいいます。
私たちが転倒しそうになった時、バランスを回復させる役割を持ちます。いわば、転倒予防のためにある反射です。
下記の写真は、バランス反応の特徴がよく表れています。
前に紹介した頚反射や迷路反射は、持続的に働いていますが、バランス反応は、平衡が崩れた時に素早く現れます。
ここでは、バランス反応の主なものを紹介していきます。
パラシュート反応(保護伸展反応)
パラシュート反応は、体が急激に傾いた際に、傾いた方の手が転倒に備えるかのように伸びる反応です。保護伸展反応ともいうように、手を伸ばして着くことで、頭部や体幹部を保護する役割を持っています。
パラシュート反応が見られるのは、生後6~7カ月くらいからで、前方・側方・後方の順で発達します。パラシュート反応を出すには、赤ちゃんがお座りを保つのにも重要な反射です。パラシュート反応は、生涯続く反射です。パラシュート反応が弱くなると、転倒する際に手が出ず、顔面を強打したり、後方に転倒して後頭部を打ったり、尻もちをついて背骨を圧迫骨折したりしてしまいます。
傾斜反応
傾斜反応は、傾けることの出来る台に人が乗り、その台を傾けた時に出る無意識の反応をいいます。主に3つの反応がでます。
1.傾いた側の手足を広げて伸ばす反応。
2.反対側の手足を広げる反応。
3.傾いた方と反対側に頭を向ける反応です。
傾いた方の手足を伸ばして広げる反応は、パラシュート反応と同じです。
傾斜反応に特徴的なのは、傾いた方と反対側の手足が広げることです。これは腕や脚を開いて重心を傾きと反対側に移す反応です。
さらに、傾いた方と反対側に、頭が回旋するのも傾斜反応の特徴です。これも同様の重心移動だと考えられます。
脳卒中などで、傾斜反応が出なくなると、少し傾くだけでイスから落ちてしまうなど、日常生活が困難になります。なにげなく日常生活を過ごせているのも、無意識に働く反射のおかげなのです。
シーソー反応
シーソー反応は、生後15か月くらいから見られる反応です。片足立ちの子供の浮いた方の足を手で支え、支えた足と同じ側の手を前に引っぱりながら外に開くと、浮いた足が伸びながら外に開いてくるというものです。シーソー反応も他のバランス反応と同様に生涯続きます。
バランス反応のまとめ
バランス反応は生涯続き、転倒予防や崩れたバランスの回復に役立つ大事な反射です。年齢をバランス反応が弱くなると、思わぬケガにつながります。人生100年時代を迎えるにあたって、これから注目される反射なので、しっかり主な作用を覚えておきましょう。
反射の種類 | 主な反応 |
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パラシュート反応 | 傾いた方へ手を伸ばす |
傾斜反応 | 傾きと反対の腕・脚を開く |
シーソー反応 | 腕を開くと脚も開く |
参考動画:パラシュート反応
参考動画:座位で保護伸展反応
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