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屈曲逃避反射(引っ込め反射)

初回は、屈曲逃避反射について学んでいきましょう。


この反射は、字のごとく人間にとって、有害な刺激から体を逃避させる反射です。生物にとって、有害なものから逃げ出すことは、最も優先順位の高い行動です。


自分が食べられなくても、すぐには死にませんが、天敵から逃げられなければ、捕食されてすぐに死んでしまいます。


単細胞生物にも、有害なものから遠ざかる反射があります。最も根源的な反射が、逃避反射なのです。

屈曲反射は、人間の反射の基本を押さえておく上でも最も大切です。

ばっちり理解しておきましょう。


屈曲逃避反射とは

屈曲逃避反射とは、手足に侵害的な刺激を受けた時に無意識に「手足を引っ込めてしまう反応」のことをいいます。


手足に侵害刺激があると、腕や脚が折りたたまれるように屈曲し、侵害刺激から手足を遠ざかります。


この反射は、別名「引っ込め反射」ともいいます。


屈曲逃避反射というと難しく感じますが、「引っこめ反射」ならイメージが湧いて覚えるのも簡単です。


このように、反射はイメージさえつかめれば、とても身近な現象です。


誰にでも、熱いものや冷たいものに触れて、手を引っ込めてしまった経験があります。また、尖ったものを踏んで、とっさに足を引っ込めてしまったこともあるでしょう。


反射は、私たちが知らず知らずのうちに日常で使っているものなのです。


屈曲逃避反射に限らず、反射は難解な用語で記される作用を暗記するのではなく、イメージをとらえることが大切です

屈曲逃避反射 手足に侵害刺激⇒手足が引っ込む

脊髄反射

屈曲逃避反射は、脊髄反射です。


脊髄反射という言葉は、日常でもときどき使われるので、意味を知っている人も多いかもしれません。


中学生の理科の時間でもその仕組みをくわしく習います。

(私は、習ったことも忘れていましたが…)


屈曲逃避反射は、手足に受けた刺激の信号が、脳へ行かずに脊髄で折り返されて、手足に戻ってきます。脳を介さず、脊髄で折り返してくるので、脊髄反射といいます。


反射の反射たる由縁は、刺激が反応になって帰ってくることです。


刺激がどこまで行って折り返し、反応として帰ってくるのかによって分類されています。


屈曲逃避反射は、刺激が手足の皮膚から入って、脊髄で折り返してくるので脊髄反射に分類されます。

もっとくわしく

脊髄反射の特徴

脊髄反射の特徴は、とにかく速いことです。


熱いものに触れて、痛いと感じる時には、手足が引っ込み始めています。だからこそ、火傷をする前に手足を引っ込めることができわけです。


ここで、どうしても押さえておいてもらいたいポイントがあります。


それは、感じるより早く手足が動き始めているということです。感覚が生じなくても、体は刺激によって勝手に動きます。


反射が起きるのに、感覚は必要ないのです。


もちろん、反射を調節するのに、感覚は重要です。


しかし、感覚が起きるから、反射が起きているわけではないことを覚えておいてください。


私たちの脳の構造上、痛みが手足を引っ込めているように感じますが、痛みを感じる前に反射は始まっています。


反射にはたくさん名前がある

屈曲逃避反射にはたくさんの呼び名があります。

単に屈曲反射と呼ばれることもありますし、逃避反射と呼ばれることもあります。また、さっき紹介したように引っ込め反射と呼ぶこともあります。引っ込め反射は、脊髄反射でもありますし、逃避反射でもあるのです。これは、反射がその作用で分類されたり、反射の折り返し地点で分類されたり、反射の目的や効果によって分類されたり、検査の手法によって命名されたりなど、さまざまな分類によって命名されるからです。反射を運動に応用するには、反射を難しい専門用語で覚えようとするのではなく、体感的なイメージで覚えるようにすると上手くいきます。

屈曲逃避反射のまとめ

手足への刺激で、手足が引っ込む

脳を使わず、脊髄で折り返してくるから速い

​専門用語にとらわれず、体感的イメージをつかむ


参考動画:赤ちゃんの屈曲逃避反射


参考動画:犬の屈曲逃避反射


参考動画:屈曲逃避反射を使ったリハビリ

反射は、神経系の状態を見る検査や運動を誘発させてリハビリを補助するなど、さまざまな分野への応用が期待できます。



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