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把握反射(手掌・足底把握反射)

今回は、把握反射について学んでいきましょう。

生まれたばかりの赤ちゃんの手のひらを指でこすると赤ちゃんは握り返してくれます。実は、この現象、赤ちゃんが意識的に握り返しているわけではありません。手のひらの刺激に対して起こる反射で、把握反射といいます。

この反射はとても有名なので、やってみたことがある人もいるかもしれません。あとから解説しますが、実は、足にも把握反射があります。

では、把握反射についてくわしく見ていきましょう。


把握反射

把握反射は、手掌把握反射と足底把握反射の二種類があります。用語が固いので「手の把握反射」・「足の把握反射」と覚えてもかまいません。反射を学ぶときは、思い切って簡単な呼称を用いるのがコツです。難しい用語をそのまま使っていると、反射を嫌いになってしまいます。


手の把握反射(手掌把握反射)

手の把握反射は、手のひらの刺激で、指が物をつかむように曲がる反射です。特に、小指の方から、親指と人差し指の股の方へ、こするようにすると出しやすいです。非常に強い反応がでやすい反射で、生まれてすぐに試すことができます。

金メダリストの室伏広治さんは、赤ちゃんの時、物干しざおに一分ぐらいつかまっていたそうです。私も息子を鉄柵につかまらせてみましたが、手を離しても大丈夫そうでした。もちろん、実際に離しはしませんでしたが。

手の把握反射も支持反応と同じく、だんだん反応がわかりにくくなってきます。それでも、大人になっても残っていて、物をつかむ動作をサポートしています。手の把握反射は、赤ちゃんが物をつかむ動作を覚えるのを助けています。


足の把握反射(足底把握反射)

足の把握反射は、足裏への刺激で、足指が物をつかむように曲がる反射です。特に、踵の小指側から爪先の方へこすり上げていくと、よく反応がでます。進化の過程で、人間は樹上生活に適応する必要がありました。そのため、足にも手と同じような把握機能がそなわっています。

赤ちゃんの頃は、同じように刺激しても反対に指が曲がらず開きます。これは、バビンスキー反射といいます。成長と共に、だんだん同じ刺激を与えても、指が開かなくなります。

そして、物をつかむような動きの足底把握反射に変化していきます。

足の把握反射は、大人になると、地面を指でつかむように支えるのに役立ちます。


足趾把握反射

足趾把握反射は、足の親指のつけ根や母指球の圧迫によって、全指が曲がる反射です。

こちらを足の把握反射と呼ぶ場合もあります。

神経学的な検査として用いられるのは足趾把握反射です。足趾把握反射が消えないと、親指が深く曲がり過ぎて歩くことができません。足趾把握反射は、歩き始めるころに弱くなっていきます。大人になると、地面を蹴る動きを補助します。

把握反射のまとめ

把握反射は手にも足にもある

手のひらや足のこすり刺激に反応する

赤ちゃんの運動発達を導く

大人になっても、運動をサポートする


参考動画:手の把握反射で棒につかまる赤ちゃん


参考動画:手の把握反射(手掌把握反射)


参考動画:足指の把握反射(足趾把握反射)


参考動画:バビンスキー反射(陽性)




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